● 屋根周り① 板金屋根の破損
通常雨は上から下に降りますが、その雨水は屋根板金材同士の嵌合部
(重なり合った部分)からは浸入しないよう、部材を重ね合わせる施工で取り付けます。
また、屋根の呼吸のために板金材の嵌合部には通常、空気の通り道となる隙間を設けています。この隙間からは、横殴りや強い風雨の場合は雨水が入り込む場合もありますが、屋根材の下に敷いた防水シートによって野地板
(屋根の下地材のこと)に浸透することを防いでおり、入り込んでしまった雨水も隙間からの空気対流
(屋根の呼吸)により蒸発します。
ではなぜ雨漏りがするのでしょうか。
第1の原因は、屋根材の下に敷いてある防水シートの経年劣化や損傷です。第2に屋根材のずれや歪みです。屋根材にずれや歪みがあると、その下部の防水シートの劣化が進み、入り込んだ雨水が野地板まで浸入し、雨漏りに繋がります。
すなわち板金屋根が損傷している場合は、同時に防水シートの張り直しも行います。
● 屋根周り② 瓦屋根の破損
現在では板金屋根が多くなっていますが、まだまだ瓦屋根は多く使用されています。
屋根瓦の固定はしかるべくガイドラインに沿って施工されますが、瓦自体の経年変化や予想を超える風害などによって、瓦が割れたり落ちたり、取り付けにずれが生じる場合があります。そこで発生した隙間の下では、板金屋根と同様に防水シートの劣化が進みます。あとは同じ理由で、入り込んだ雨水が野地板まで浸入し、雨漏りに繋がります。
この場合も、屋根瓦の置き換えとともに防水シートの張り直しを行います。
● 屋根周り③ 棟板金の破損
板金屋根でも瓦屋根でも、最も高い部分
(棟=むね)に棟板金
(むねばんきん)や棟瓦
(むねがわら)と呼ばれる部材を被せます。この棟材が棟からの雨漏りを防いでいます。
この棟材は嵌め合わせで留めているだけなので、この棟材が経年劣化や暴風雨などにより外れたり鋼板や瓦の状態が変わったりすると、この部分から雨水が浸水し、雨漏りが発生します。
ご自身による日々の目視点検の中でも、とくに注意して観察していただきたい部分です。
● 屋根周り④ 防水シートの破れ
前述のとおり、いかなる屋根材の下にも防水シートが張られていますが、残念ながらこちらも一生ものではなく、経年による傷みや穴が空いてしまうことがあります。
単体の不具合では屋根材がカバーして守られますが、防水シートの損傷箇所と屋根材の不具合箇所が相俟ったときに、雨漏りが発生してしまいます。
● 窓枠周りのコーキングの劣化
窓枠からの雨漏り要因に、コーキング材の劣化があります。
コーキング材は防水用途に有用で、外壁材のつなぎ目や窓枠、サッシの周囲など至るところで使われています。
新しいコーキング材はプニュプニュして弾力性があり、窓枠と外壁材をしっかり馴染ませますが、時間の経過とともに弾力がなくなり硬化します。物体は硬くなるともろさも増しますので、コーキングも少しの衝撃で断裂したり、剥がれ落ちたりしてしまうことがあります。
この隙間から雨漏りが発生してしまいます。
● ベランダの防水塗料が劣化
ベランダは日々、風雨にさらされています。これ自体には防水塗装がされていますが耐用年数は5~10年ほどで、定期的に塗り替えを推奨しています。
塗装膜の劣化を見分けるポイントとして、以下の4点に注意してみてください。
- 塗装表面に白い粉が浮いている
- 塗装膜が浮いていたり、剥がれたりする
- 上塗りされた塗装がすり減り、下地が見えている
- ベランダ内に雑草やコケが繁殖してきた
これらが見られたら、すぐに再塗装を行うべきです。
さらにベランダからの雨水が保持のコンクリート材に浸入してしまうと、柱や壁の構造体にまで影響を与える恐れがあります。
コンクリートは鉄筋
(骨材)やセメント、水から構成されています。
コンクリートはアルカリ性なのですが、酸性の雨が当たることで中性化し、やがて酸化が進み、さらに空気と反応することで、いずれ鉄筋の錆に繋がります。鉄筋が錆びてしまうと構造体が徐々に強度を保てなくなり、表面にひび割れや亀裂が生じ、放置すると崩壊へと進みます。
この劣化を防ぐためにも、ベランダは定期的に再塗装を行いましょう。早めの予防策を取ることで大規模な改修にならず、生活への影響も最小限に抑えられます。