アパートの居住者は、居住者に起因する責のために火災保険加入が義務づけられていますが、所有者も、火災や自然災害、漏水、屋根の破損など、居住者に起因する責がないリスクに対処するために、火災保険に入っていることが一般的です。
殆どの火災保険では、雨漏りも保険支払いの対象となっています。しかしすべての場合で補償されるものではなさそうです。万が一発生した雨漏りに、この火災保険が有効に活用できかどうかは大切な情報です。火災保険についても確認していきましょう。
● 経年劣化は対象外
屋建物が20年ほど経過し、屋根や外壁の経年劣化によって雨漏りが始まったなどの理由に該当する場合は、火災保険は適用されません。
雨漏りが火災保険の対象となる場合は、自然災害によるものです。台風や暴風雨などによって屋根材が破損したり、ずれたりすることで雨が浸入してきたときに、火災保険の適用になります。
● 暴風雨などの影響の場合は証明が必要
火災保険の申請には、自然災害の発生を証明するものが必要になります。最近はインターネット検索などで自然災害情報を入手できますので、保険の申請にはそれらを用意すればいいでしょう。
雨漏りが発生し、工事業者から見積もりを受け取ったら速やかに、その自然災害情報とともに保険会社に保険適用の可否の確認をしましょう。保険会社で補償の確約が取れれば、ご自身の負担額を減らせることになります。
残念ながら保険の適用外であった場合は、工事が完了しても補償は得られません。ご自身の予算を確認しながらもう一度改修範囲を改め、施工することをおすすめします。
● 火災保険は3年まで遡れる
火災保険の請求期限は3年間あります。工事を行ったあとに火災保険の存在に気付いても、慌てずに保険会社に問い合わせをしてください。自然災害が原因で雨漏りが発生した場合、保険が適用されるでしょう。
その際、工事前後の写真が必要になりますので、実際にどんな状況でどんな工事を行ったのかを工事会社に確認し、写真を提供してもらいましょう。
● 業者からの「火災保険適用になる」は真に受けない
工事業者に見積もりを依頼したときに、「火災保険が適用されるから」と言われることが多々あるようです。保険会社との契約は所有者ですので、工事会社に保険適用の判断はできません。。
過去の経験や実績からの助言だと思いますが、あくまでもそれは他例のことで、今回の補償に関するものではなく、発言に責任はありません。所有者ご自身が保険会社に確認をするしかありません。
なお、火災保険に詳しい工事業者の場合は、火災保険が適用されそうな範囲や、保険適用の有無による修理工法の提案など、あらゆる可能性を考慮したアドバイスをしてくれるでしょう。