● 経年変化や豪雨・強風による雨漏り
お家の築年数が長くなると、どうしても屋根材が傷んできます。雨は通常上から下に降り、屋根自体もそれに沿った雨水処理をしていますが、強風とともに屋根材がめくれたり歪んだりした場合、また軒下に巻き上げる風が屋根材の下に横殴りの雨を誘導した場合などに雨水が吹き込んでしまいます。
さらに下地の防水シートも劣化している場合、この雨水が野地板
(屋根の下地材のこと)に浸入し雨漏りに繋がります。
台風など強風が発生したあとには屋根材に歪みがないかを目視し、異変を感じたら業者にも点検してもらいましょう。
● 板金屋根 塗装の種類と耐用年数
お住まいや建造物が板金屋根の場合、歪みがなくても塗装が剥げたり腐食したりすると錆びが発生し、最終的に屋根材自体に穴が空いてしまうこともあります。このようなことを起こさないために、定期的な塗装は重要になります。
板金屋根の塗装は一般的に以下の4種が使われています。いまお使いの屋根塗装の種類と特長をご確認いただき、適切なメンテナンスを行っていただくことを推奨します。
種類 |
耐用年数 |
特長 |
アクリル系塗装 |
5~7年 |
価格は安いが、頻繁に塗り替えが必要 |
ウレタン系塗装 |
5~10年 |
比較的安価、かつ耐用年数もやや長め |
シリコン系塗装 |
8~15年 |
住宅で多く使われている
アクリル/ウレタン系と比べて耐用年数が長い |
フッ素系塗装 |
15~20年 |
耐用年数が高いので、足場の組みにくい場所や広範囲の場合、足場を組む工程を考慮して、この種の塗装を選ぶ場合が多い |
板金屋根塗装だけでも雨漏りが止まる?
「屋根を塗装すれば雨漏りが止まる」という説明を受けて、雨漏りを屋根塗装で対応する事例をよく聞きます。しかし施工後に雨漏りが止まり無事解消かと思いきや、残念ながら1年後、2年後に再発するケースが多いです。これはなぜでしょうか。
通常雨は上から下に降りますが、その雨水は屋根板金材同士の嵌合部(重なり合った部分)からは浸入しないよう、部材を重ね合わせる施工で取り付けます。
また、屋根の呼吸のために板金材の嵌合部には通常、空気の通り道となる隙間を設けています。この隙間からは、横殴りや強い風雨の場合は雨水が入り込む場合もありますが、屋根材の下に敷いた防水シートによって野地板(屋根の下地材のこと)に浸透することを防いでおり、入り込んでしまった雨水も隙間からの空気対流(屋根の呼吸)により蒸発します。
さて、「塗装で雨漏りが一時的に止まる」ということはなにを意味するのでしょうか。
これは屋根板金材の嵌合部を塗料でがっちり埋めるように塗装した結果、たまたま雨水の進入口が一時的に塞がったということに過ぎません。
しかしこの隙間は屋根が呼吸するための大切な隙間であり、これらを埋めてしまうのは屋根材の寿命にも致命的であり、同時に塗装で隙間を埋めても直射日光や風雨等による経年劣化で塗装は剥げて再び隙間が生じ、「再び雨漏りも発生」します。即ちこの場合は屋根材の問題ではなく、その下に敷いてある防水シートの傷みによる野地板までの雨水浸入で、雨漏りしていることほかにありません。
本当に必要な施工は、防水シートの張り直しということになります。
● 瓦屋根の補修目安
お住まいや建造物が瓦屋根の場合、陶器製の瓦は50~100年と、長い寿命が特長です。
またセメント製の瓦の場合は30年がひとつの目安となり、寿命が近くなると白化していまにも砕けそうな風合いになります。
どちらの場合も瓦の多少のズレは判りにくいのですが、瓦が大きくずれている、瓦がずり落ちている、瓦の下に下地の防水シートが見えている、などの場合は日頃の点検でも見分け易い点で、早くに気付けば雨漏りを未然に防ぐことにも繋がります。
また瓦がずれている場合は下地に敷いた防水シートも劣化していることが大概ですので、その場合は防水シートも敷き直すか、重ね張りする必要があります。
これらを踏まえ、5年や10年毎などに定期的に専門業者の点検を受けていただくことが、より安心してお住みいただけることに繋がります。
雨漏りに屋根瓦から板金屋根へのリフォームは有効なの?
雨漏り対策として、瓦屋根を板金屋根に置き換えることの直接的な効果はありません。瓦屋根でも板金屋根でも下地に防水シートも張りますので防水効果に遜色はなく、外観の違いと考えていいでしょう。
しかし重い瓦材を軽量な板金屋根に置き換えることで、屋根から重量物がなくなり、地震に強い耐震リフォームとなります。
また瓦材は高価なので、板金屋根を採用することで初期コストの低減が見込めることがあるので、瓦屋根の雨漏り修理や瓦材の老朽化(置き換え)のタイミングで、板金屋根にリフォームされることがあります。
見た目の印象も変わるので、人気の高いリフォームのひとつです。